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UMEZY & ugazin / ポルノキッド デモテープ リイシュー 対談!

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世の中に数多とあるロックバンドの青春物語。その思いは多くの人の心を打つ。ここにも四半世紀前に情熱を注ぎ込んだ「ポルノキッド」という若者達がいた。その音源であるデモテープ『1999』が現代の技術で蘇りサブスクリプションサービスで配信され支持を得ている。今回はメンバーであるUMEZY(Gt&Vo)と仕掛け人であるプロデューサーのugazinに事の経緯や思いの丈を語ってもらいました!


interview by 齋藤泰人(Hooky Records)

2025.10.15





ー 自己紹介からお願いします。



UMEZY UMEZYです。「ポルノキッド」ではギターとヴォーカル担当してます。現在は舞台音楽を中心に、他アーティストのサウンドプロデュース全般をしてます。



ugazin ugazinです。最近はプロデューサー業がメインになっていて、今回もミックスを含むプロデュースを担当しました。



ー 1999年にレコーディングしたポルノキッドの『1999』がサブスク解禁しました。経緯を教えて下さい。



UMEZY 発端は確か僕が実家で『1999』のマルチのカセットテープを発掘したのが始まりかな。その事をugazinにメールしたんだと思う。



ugazin 前段として、今年の初頭にUMEZYとえがわ(allizdog, lolMusika)と飲んだ時に、「コロバ・ミルク・バー」や「UpperNileSquare」の過去音源リリースの話になって「あのmiya38さんと作ったデモテープ大好きだったんだけど、マスターないのー?」みたいな話になったんだよ確か。それで探してくれて、本当に現存してたっていう。



ー よく残ってましたね!



ugazin マスターっていっても、普通のリハーサルスタジオでマイク立てて録った音源なんだっけ?



UMEZY そうだね、普通のリハスタ。池袋ペンタか赤羽のスタジオウイングじゃないかな。スタジオウイングは「ポルノキッド」が練習してたとこで、池袋ペンタはレコーディングしてくれたmiya38君が住んでたので。マイクも今みたいにレコーディングマイクセットのレンタルとか無かった気がするので、ほぼSHURE SM58で録ったんじゃないかな。



ugazin ほぼSM58なのはミックスしててそうかなーと思った。ギターもベースもキックもメチャクチャ帯域が似てて、かなり力業でキャラ分けしました。



ー あの時代に8trMTRで録音されたんですよね?



ugazin そうそう、カセットMTRで録音されてるのは聞いてたんだけど、まさかの8trカセットMTRで録音されてたんですよね。いろんな音が分離されてるのは凄く嬉しいんだけど、調べてみたらそもそも8trのカセットMTRって凄く希少みたいで、まずそれを入手するのに結構頑張りました。



UMEZY 当時でも楽器屋では4trはあったけど、8trは見た事無かった。miya38君も知り合いから貰ったって言ってたので。



ugazin 8trMTRを手に入れた瞬間、ケーブルも6本追加で買わないといけないという、まあ泡吹くほど当たり前の事に気づいたりして(笑)。



UMEZY 普段家で作業してたらケーブルそんなにいらないもんね(笑)。



ugazin 1999年だったら、もうRolandのVSシリーズとかも出てた気がするので、8trMTRって主流になった時期がほぼ無かったんだろうと思うんだよね。ただ、この作品がVSで録音されてたらそれはそれで多分データが保存されてないとか、仮想トラックの構成を読み解かないといけないとか、こうやって陽の目を見る事ができなかったかも知れない…。これ、そもそもどういう経緯でmiya38さんとやる事になったの?



UMEZY 元々はmiya38君が当時やってた「the fantastic designs」のライブに僕が足繁く通ってて。それでmiya38君とも仲良くしてもらってたのよ。そしたら多分「東京ヤング」のイベントだったと思うんだけど、「the fantastic designs」と「ポルノキッド」が対バンする事になって。それでmiya38君が「ポルノキッド」を見てくれて。もうリハから客席でガン見してるのよ(笑)、めっちゃプレッシャーだなって(笑)。



ー それは緊張しますね(笑)。



UMEZY で、イベント終わった後に、忘れもしない三軒茶屋ヘブンスドアの楽屋の前に3人呼び集められて(笑)、「お前ら、デモテープ無いんだろ…?俺ん家に8トラックのMTRがあるからそれでデモテープ作るぞ」って言われて。そりゃもう2つ返事で「お願いします」で。一緒に作る事になりました。



ugazin 99年って今調べたら「the fantastic designs」もメジャーデビュー3年目で『boomerang』とかリリースした頃みたいなので、ノってるというか、忙しかったであろう時期よね多分。面倒見の良いアニキっていう印象あるけど、そのまんまなエピソードだねそれ。



UMEZY そう、メジャーデビュー中で。そういう意味ではバンドとしてはいい時期なんだけど、レコード会社が期待してるような結果も中々出せずで苦しい時期でもあったと思う。そんな中ずっと付きっきりで録音からMixマスタリングまでしてくれて、どれだけ感謝してもし尽くせないです。



ugazin 本当に手本だったよね、「the fantastic designs」は。



UMEZY この出来事は今でも自分のアイデンティティの形成に大きく関わってて、シンガーソングライターでアルバム作りたいけど、バンドのアレンジも出来ないし、どうやって作ればいいかわからない、って人の手助けを出来るだけしてあげようと思って、アレンジからMixマスタリングまでやってあげる、という活動に繋がってます。



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ー 「ポルノキッド」のメンバーは現在どうしていますか?



UMEZY ドラムの脇山広介は「ポルノキッド」解散後は「tobaccojuice」を主として活動して、現在は2人組ユニット「COL」をやりながら、様々なバンドやアーティストと共演してます。「ウカスカジー」で叩いたり、最近は「RHYMESTER」のライブのサポートもしてます。ベースのノ・ブヨシはあまり大きな活動はしてないのですが、アコギに持ち替え、弾き語りでライブ活動してますね。



ugazin 脇山さんは他にも自分のHPでワークス紹介されてますけど、「林田健司」さんとか「tricot」とか「ぼくのりりっくのぼうよみ」とか、すごいメンツとやってますね。



ー UMEZYさんは元AKBメンバーのプロデュースなども行っていますよね?



UMEZY はい。今井優さんですね。初めはワンマンライブのサポートでギター弾かせていただいたのが縁なのですが、それこそ正に、優さんは作詞作曲とピアノ弾き語りは出来るんですけど、バンドアレンジだったりオケ作成が出来ないというのもあり、私がCD用の楽曲のプロデュースをやらせてもらって、編曲録音Mixマスタリングまでやらせてもらってます。



ー 「ポルノキッド」結成の切っ掛けを教えて下さい。



UMEZY 高校卒業して世に出るためのバンドを結成しようとしてて、メンボで募集したりこちらから行ってみたりしてたんですけど、中々これだという人に巡り会えなくて。そんな折に僕の仲良かった女の子と当時の脇山のパートナーが同じ高校だったとかで。こちらはドラムとベースを探してて、脇山とノ・ブヨシは幼馴染なのもあって既に一緒に活動してて、ギタリストがいない状態で。それでお互いを紹介してもらったのが始まりです。3人の共通して好きなバンドが「BLANKEY JET CITY」だったので、まずはブランキーのコピーをやろうという事でスタジオ入ったんですけど、もう1曲やった時点で「これだ!」って感触でしたね、僕としては。2人の方も同じ事を多分思ってくれて、その場でもう次のスタジオ決めたような感じだったと思います。ライブも最初はブランキーのコピーやってたんですけど、初ライブでオリジナル曲を1曲やって、そこからライブの度にオリジナルを増やしていって、最終的には全部オリジナルになったという経緯です。



ー 音楽活動の原点なんですね。



UMEZY そうですね。初めてライブハウスでライブしたのも「ポルノキッド」ですし、ここで切磋琢磨しながらバンド出来た事が、今の音楽活動の礎になってます。



ー その当時のエピソードなどはありますか?



UMEZY 中々イベントに呼んでもらえなくて苦労しましたね(笑)。カテゴライズしづらいのか、出演したイベントでも浮く事も多かったし。ブランキー好きで集まったとはいえ、じゃあそっち系のロックかというとそれとも違うし。なので自分らでイベントもやってたんですけど、こちらはもうノンジャンルで、普通ならこの組み合わせ無いだろうって対バンが多かったかもしれないです。ugazinのバンド「14"fourteen”」もよく出てもらってました。



ー そもそもugazinさんとの出会いは?



UMEZY 山内君(allizdog)と元々仲良くて。で、山内君から「新しいバンド始めたので観に来てください」と言われて行ったのが、ugazinと山内君がやってた14"fourteen”だったんですよね。ただライブが新宿LOFTの昼の部だったんですけど、ベーシストが寝坊?で来ない、ライブが出来ないという事態に陥ってて(笑)、結局ライブを観れずに、初対面がまず謝罪というところから始まりました(笑)。



ー 衝撃的な出会いですね(笑)。



UMEZY ガチの初対面は謝罪だったので腰低いな、と思ったけど(笑)、ギターはガッツリ攻めて弾いてくるけど話すと理論的なとこもあって、やっぱメジャーから声かかるだけあってしっかりしてるな、と思ったかな。「ポルノキッド」が歌詞もそうだけど、メンバーの言う事も抽象的だったので尚更。



ugazin その話って俺の生涯3回目ぐらいのライブの話なんですよ。だから本当に俺らはペーペーもいいとこで。僕は、UMEZYが別のミクスチャーバンドで既に赤坂BLITZ出たりとかしてる人だってのを確か事前に山内から聞いてたのかな。ミクスチャーで赤坂BLITZ出るレベルって事はガチでおっかねー人が来るのかと思いました。で、梅ちゃんを知ってる人には分かると思うんですけどギター弾いてる時と弾いてない時のオーラのギャップがエグい人で、その弾いてない時の状態で初対面だったので「え、ほんとにこの人?」みたいな印象だったかも。もう30年近く前の話だから曖昧だけど(笑)。



UMEZY 当時「ポルノキッド」の3人+2人で「ウルベリン」というミクスチャーバンドもやってて、そちらが色々コネあって最初のライブが新宿LOFT、半年後には無料ライブイベントではあるんですけど出来たばっかりの赤坂BLITZに出させてもらって。まあミクスチャーバブルに乗った感じですね。「ポルノキッド」はみんな口数少ない方だし、背もそんなに高くない、見た目もいかついとかは無かったので、演奏してる時とのギャップは激しく思われてたのかも。



ー それが26年の月日を経て「ポルノキッド」の音源をugazinさんが再構築するって胸が熱くなりますね。



UMEZY そうなんですよね。26年経ったからこそ、今の技術でいい形で再構築出来たというのもあるし、お互い音楽を続けられてるからこそ出来た事だと思いますので感慨深いです。



ugazin あの当時の録音物って、極論言うと自分のも仲間達のも全部今の技術でミックスし直したいんですよね(笑)。当時の安価な範囲における制作技術と、「本当はもっと良いバンドなのに」「本当はもっと良い曲なのに」っていうギャップが凄いので。そういう意味ではやりたかった仕事ランキングトップ10に入るのがこの作品でした。ほんとこの形で世に出せた事が光栄で。



ー 思い入れのある作品なんですね。



ugazin そうですね。まず「ねじれた空」とか「チャプター11」とかはあのデモで初めて聴いたんじゃなかったかな確か。遂に「ポルノキッド」が方向性をガッツリ見出した感じがして、メチャクチャ興奮したんですよ。俺も若かったので、ちゃんと先輩の曲コピーしてたんですよね。「ねじれた空」なんかは今でも完コピでギター弾けます。これ、俺のリーダーバンドやってた時のスタジオで、何の意図もなくなんとなくこの曲のイントロ弾いたら、ドラムもえがわもしっかり完コピしてたので、そのままUMEZYの前でフルコーラス演奏した事ありましたねそういえば(笑)。UMEZYもいきなり昔の自分の曲を演奏されちゃって笑い転げてて「お前らグルーヴまで完コピしてんじゃねーか!笑」って。



UMEZY そう!みんなコピーしてくれてたの!!もちろんその時の事は覚えてるし、再現度も高いと言うかほんとまんまだったので、思わず笑っちゃったけど、感動しました。作曲家、プレイヤーとしてこんな嬉しい事は無いですよ。



ugazin それぐらい真面目に聴き込んだ作品なので、課題も覚えてたんですよ。この曲のここでギターが抜けてこないんだよなとか、この曲はボーカルが埋もれてんだよなーとか。課題が分かってるという事は、解決するだけで収穫を得られるという事ですから、コスパ良いじゃないですか。なのでこの作品のミックスは非常にやりたかったです。



UMEZY 今回ugazinがミックスやりたいって時に、この人なら任せられるなと思ったし、実際今回のミックスに関してはこちらからはほとんど口出してはないです。



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ー この作品のどんな所を聴いて欲しいですか?



ugazin この作品を「懐かしい」と思う人向けに言うと、歌詞ですかね。現代の技術を駆使したことで、オリジナル版より格段にノ・ブヨシさんの歌が聴きやすくなっているので、要所要所で「あの人こんなキラーフレーズを放ってたのか」と僕もはっとさせられたので。初めて聴く人には単純に「ねじれた空」を聴いてほしいです。26年前にデモテープ渡された時から大好きな曲で、「ポルノキッド」が何をやりたかったのかが一番伝わる曲なんじゃないかなと思います。



UMEZY ugazinの言ってる事が基本的にはまず聴きどころなんですが、当時は曲や演奏を突き詰める反面、個々の音色作りからのバンドとしてのサウンド作りはまだまだなところもあって。miya38君もミュージシャンとしては1流でしたが、エンジニアでは無いので。その辺りのジレンマが今回のugazinリミックス&プロデュースで解消されましたね。で、それを経て聴いてみると「チェロキー」なんかは他の何物でもない、3人の個性がぶつかっててジャンルの制約も受けてないのに、上手く曲として成り立ってて凄いなと、自画自賛できますね。「YUBIFETI」もノ・ブヨシの曲なので彼の世界観が炸裂してますが、それに呼応する私のギターと脇山のドラムの切れ味が凄くて、思わず唸っちゃいます。なので2周3周聴いてくれる方がいたらその辺りも深く感じてくれると嬉しいです。



ugazin これ録音した時って、22歳とかそんなもんでしょ?その年齢の頃の音源聴いて「やっぱ上手いな」と思う事って実は少ないんだけど、「ポルノキッド」は演奏上手いよね(笑)。今聴いてもフレージングとか凄く良いし。



UMEZY 3人同じ学年だけど僕とノ・ブヨシが23歳になったばかりくらいだね。フレージングに関しては、僕はクラシックやってたり高校の頃からジャズとかも聴いてたのもあるかな。脇山もオルタナ系だったりも好きな一方、こじゃれた感じのロック、ポップも好きで、そういうフレージングをリハ中でも練習したりしてたし。ノ・ブヨシは天性のセンスって感じだけど歌詞も含めてちょっとひねてるところがあるよね。演奏力に関しては同い年なのが功を奏した面もあるかも。やっぱり最初に合わせた時に「同い年なのに上手い!」ってみんな思ったから、負けじと頑張ろうって思えたのかな。



ー それでは最後に当時のポルノキッドのファンへ、そして今回初めて聴く事になる音楽ファンへ、それぞれコメントをお願いします。



ugazin 2000年前後って、今と違って簡単に配信サービスに楽曲を公開できる時代でもなかったし、CDをリリースするという高いハードルを越えていても、原盤権の問題でやはり配信されてないものがまだまだ多い状態です。その時代を愛している人達がこうやって必死で過去の作品を現代に届けようとしている実態があったりするので、是非新譜だと思って楽しんでもらえたら嬉しいです!あと、宣伝がひとつ!今回カセットMTRからデジタルリリースへ、という貴重な作業を経験できたので、万が一カセットMTRのマスターテープを持ってる方がいたらこちらから作業承っておりますので是非よろしくです!!



UMEZY 26年前に聴いてくれた方、カセットテープという媒体だったため今聴けなくなった方も多いかと思うので、これを機に懐かしみがてらに聴いていただけたらと思います。初めて聴く方、26年前にこんな音楽があった、古いところもあるかもしれないけど色褪せないものもある、そんなところを感じていただけたらと思います。





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UMEZY


1995年より活動開始。ポルノキッド、MONG HANG、L.E.D.などのバンド活動やサポート業を経て、現在は、shao、今井優、高村亮輔 etc…のアーティストのプロデュースをしながら、舞台音楽の作曲をメインとして活躍中。


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ugazin


ugazinは、日本の音楽プロデューサー、作曲家、ギタリスト、チェリスト。彼の活動は多岐にわたり、EDM、J-POP、オルタナティブロック、ファンク、クラシック音楽などに携わり、それらを自身のスタイルに取り入れている。現在はソロユニットとして活動し、渡瀬マキ、ヒダカトオル、知久寿焼、cokiyuなど、多彩なジャンルのボーカリストとコラボレーションを展開。J-POPからインディーロック、エレクトロニカまで幅広いジャンルを横断する。また、バンドプロデューサーとしても活動し、「コロバ・ミルク・バー」「Good Boy Jab」などのロックバンドの楽曲プロデュースやミックスを手がける。


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