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nobirooooone / TAPE ME WONDER 新作レコーディング インタビュー!


TAPE ME WONDER新作レコーディングインタビュー第3弾は、いよいよバンドの中心人物のnoribooooone(Vo,Gt)が登場!全てのレコーディング作業を終えたタイミングで、総括となる話が聞けました。渾身の作品に込められた音楽やメンバーに対する想いなど、もうすぐアナウンスされるであろうニューアルバムへの期待が充分に高まる内容となっています!


interview by 齋藤泰人(Hooky Records)

2021.10.29


 


― ではインタビューを始めます。よろしくお願いします。


nori もうインタビューも何度目になりますかね(笑)。noribooooone(ノリボーン、以下:nori)です。よろしくどうぞ。


― 今回はTAPE ME WONDER新作レコーディングインタビューということでお話を伺っていこうと思います。進捗状況は如何ですか?


nori 音源の制作はつい先日、最高の形で完了しました。今はジャケットなどのアートワークを急ピッチで進めています。


― 風の噂では、音源制作スタッフの面々が凄いメンツだそうで。


nori そうなんですよ、中山さん(Victor StudioのチーフエンジニアでSASなどトップミュージシャンを担当)自体もトップオブトップのレコーディングエンジニアさんなのですが、制作を進めていくうちにプロがプロを呼ぶ形で、マスタリングについてもアナログカッティングは日本音楽界のレジェンドである小鐵徹さん(JVC Mastering Center)、デジタルについては世界的な巨匠、Ted Jensen(Sterling Sound NYC)にマスタリングして頂く機会に恵まれました…奇跡的な展開にもう何が何やらです。日本のインディーズバンドとしてここまでやれたのは正直、快挙と言っていいかと。


― それはスゴイ!ロマンありますねぇ。


nori ロマンあるでしょう?というかロマンしかないよね。


― noriにとって、この作品はどういう位置付けなのか教えて下さい。


nori 勿論、どのアーティストにとっても、最新作が最高傑作だと思うけれど、個人的にはそこだけに留まらず、これまでやってきた全ての音楽キャリアも含めて総括したい、という思いが強かったですね。これまで通り過ぎてきた出会いや景色や思い出も含めて。


― 「総括したい」という思いは初めての感情ですか?それとも「NEVERTHELESS」の時にも感じましたか?


nori 「NEVERTHELESS」の時は、TAPE ME WONDERというバンドとしての集大成と、ここまでずっとお世話になってきたCD文化に対する総括は意識していましたね。


― なるほど。今作はより大きな括りとしての総括という訳ですね。ここまで沢山の作品を世に送り出してきましたが創作意欲は尽きないものですか?


nori 実はコロナ禍になる前は、ポツポツと作り続けてはいたものの、創作についてのモチベーションは低かったと思います。前作の「NEVERTHELESS」が大作だった事もあるし、バンドとしてもライブはコンスタントに出来ていたので、その流れが良くも悪くもルーティーン化していましたね。またここ何年か現実世界の物語が、本来もっと自由なフィクションであるはずの創作(歌詞)よりも大きく激動したことで、自分の創作の在り方、向かう先を再構築する時間が少し必要でした。


― スイッチが入った瞬間って有りましたか?


nori スイッチというか、色々と自分を取り巻く環境が急速に変化する中で、一旦、自分自身の気持ちや感情にケリをつけたいと思ったかもです。それもかなり強く。


― それは曲作りに変化(NEVERTHELESSと今作の曲作りの違い)を与えましたか?


nori そうですね、曲もそうですが、特に歌詞の世界観に色濃く表れていると思います。自分を中心とした物語ではなく、より「残す(遺す)」ということを意識している気がします。


― 「総括」「残す」など、集大成的な感じを受けますがアーティストとしての終わりを意識する事は有りますか?


nori 中山さんにも「これで辞めないよね?」と何度も聞かれました(笑)。アーティストとしての終わりというのがどういう事を意味するのか分かりませんが、ライブにしても作品作りにしても、これで終わっても悔いがないようにしたいという思いは常に持っています。この作品は、特にその思いが強いかも知れませんね。




― TAPE ME WONDERは多くの音楽ファンに愛されていますが、その魅力って何だと思いますか?


nori 愛されてるのかなぁ(笑)。多少は長くやってるというのと、常に新曲で勝負しているという意味ではまだ現役感を失ってないところですかね。あと、比較的どのジャンルでも噛み合う普遍的な音楽性か。まぁでも、一番はメンバーの変わらぬ仲の良さかも知れませんね。


― 現役感という意味ではセットリストに常に新曲が入ってますよね。既存の楽曲もライブを重ねる毎にアレンジや演奏をブラッシュアップしてる。対バンもギターポップからラウドロックまで幅広く、更に若いバンドの企画に呼ばれたりしますよね。


nori 僕が単なる飽き性でもあるのですが、ライブアレンジはちょこちょこ変えたくなってしまいますね。共演バンドやライブハウスについては確かに恵まれていると思います。歳上やおじさんバンドも味わい深くていいのですが、特に若いバンドとはなるべく積極的に接したいと思ってます。なかなか上の世代も辞めないんで、中間管理職的な立場というか(笑)。


― 近年で印象に残っている対バンってありますか?


nori 沢山いますよ。とりあえず最近はみんな演奏が上手いし。バンドとしてのまとまりもあって、勢いがありますよ。ただ、個人的には個性丸出しみたいなバンドに惹かれますね。上上ブラザーズやsynchre、初恋(突然少年)、フル―なんかはジャンルは全く違うけれど、印象に残っています。勿論、ずっと一緒にやってるThe JFKやaeronauts、Hasta La Vista Babies、MUSHSなんかは相変わらず刺激的です。


― 最近では空手コンドルの新曲や洪水セニョールペルフェクトのリマスターなど、同世代のバンドの活動も活発ですが、どのように思いますか?


nori 個人的に、同じ釜の飯を食った同世代の仲間達がシーンに戻ってきてくれるのは単純に嬉しいことだし、ugazinが始めたデモテープ救済企画的な試みはとても面白いと思っています。ただその反面、このレーベルのキャラメルパンチなど、もがきながらコツコツとやり続けている現役バンドもちゃんと評価されればいいなとも思います。勿論、音楽に限らず表現は自由であるべきだし、現代はサブスクリプションという媒体があるので、新しい方法論があるのはいいと思いますが、やはりバンド活動って泥臭くて不器用なものだし、その活動自体をリスペクトして欲しい気持ちがありますね。ライブハウスの為にも少なくともライブはやって欲しいかな。




― 今作の特徴としてアナログテープでのレコーディングというのが有りますが、切っ掛けを教えて下さい。


nori 元々、今回のレコーディングエンジニアをお願いした中山さんとは、GQ06(noriがPG名義で参加していたバンド)のレコーディングで出会い、FBを通じて久々に連絡を取り合ったのがきっかけでした。送った前作をかなり気に入ってくれたので、思い切って今作品をお願いする経緯になり、我々のスタジオまで来てもらったのですが、アナログレコーディングについては、その時の曲や演奏を見た後に出たアイデアの一つでした。


― 実際にやってみて如何でしたか?


nori そもそもアナログレコーディングが出来るスタジオというのは、国内でも限られています。今回、縁があって使わせてもらったビクタースタジオは、国内最高峰の名門スタジオで、その設備、機器には圧倒されたし、正直一音楽ファンとして感動しました。デジタルとの違いを言語化するのは難しいけれど、やはりドシっと来るというか、中身の濃い、太い音が録音出来たと思います。


― そんな環境の中でのメンバーの演奏はどうでしたか?


nori 音質は勿論なのですが、実はアナログとデジタルの一番の違いは、一発録りにおけるバンド全体の緊張感の違いだったと思っていて、それは如実に演奏に出てると思います。ProToolsのように簡単には録り直せないですからね。PeとDuのインタビューにも書かれていましたが、とにかく今回は如何に録音に入る前にバンド演奏を完璧に仕上げるかが大きな課題でした。


― 今の時代だからこそ、「誰が演奏してるか」が大事だと思うんですよね。人間味のある作品を期待しています。


nori その通りだと思います。だから今回は、シーケンスやクリックも極力使わなかったし、敢えてエディットもしてないから、厳密に言えばテンポがズレてるところはズレてると思います。なのに演奏自体はバシっと合ってるというのは不思議だし、魅力的だと思いませんか。当然ながら、バンドは個々の演奏の集合体な訳で、メンバーやバンドが変われば全く違うタイム感になります。だからこそ価値があると思っています。


― 随分、ハードな練習をしたそうですね!


nori 僕が先行して話やスケジュールをガンガン進めていたのもありますが、まずはメンバーとの意識や気持ちを合わせるのが大変でした。それが原因で、昨年末にはペーと取っ組み合いの喧嘩もしましたね(笑)。


― 取っ組み合いの喧嘩ですか!?


nori 年末の高円寺で、まるで青春ドラマのワンシーンみたいでしたね、2235が間に入って止めたりして(笑)。 メンバーもそれぞれキャリアも長いんで、それなりの楽器に対するプライドみたいなものもあると思うし、それはとても大事なことなんだけど、一旦、全員で基本に立ち返って謙虚にやりたかったというか。折角の機会だし、これまでの延長線上の作品にはしたくない気持ちで頭が一杯でしたね。バンドって、長けりゃ長いなりに、良くも悪くも役割やバランスが固まってくるんで、一回それを崩したかったんですよ。


― 真剣に向き合える仲間に巡り会えた事は幸せなことですね。


nori 素直にぶつかれる相手がいるのは精神安定上、良いことかとは思いますが…気に入ってたパーカーの首元、ガッツリ破かれました(笑)。


― えええ…本気のやつだ…。


nori その時は気付いてなかったんですが、家に帰って着替えてる時に、ヤケに脱ぎやすいパーカーだなと思ったら…あのヤロー。


― 再燃させてしまった(笑)。





ー さて、仲直りも含めてレコーディングを終えた愛すべきメンバー3人に何か言葉をお願いします(笑)。


nori メンバーに言葉ですか…うーん、そういうの好きだねぇ(笑)。まぁ、それなりに長くやってきたし、これまで色々な試練を乗り越えてきたと思いますが、今回のレコーディングは、間違いなくこのバンドにとってかつてないほど高い山だったと思うし、時間もない中、少なくとも全員がそこを乗り越えようと必死で頑張ったことは確かです。


― じゃ、Duからお願いします。


nori Duは、見た目はワイルドに見えるかも知れないけど、性格的には割に堅実派で、アドリブが得意な感覚タイプのドラマーではないけど、逆に言うと自分の中でやることを決めてしまえば、しっかり叩き切る力があると思います。その証拠に、メンバーの中で本番が一番強かったですね。あと、元々吹奏楽をやっていたことで、色んな打楽器の知識があり、今回は随所で助けられました。また、これは本人にもあまり言ってませんが、音楽やアレンジの良し悪しの感覚は、割と僕と近いのではないかと思っています。


― Duって耳が良いですよね!


nori そりゃ突発性難聴を患ってる2人よりかはいいだろうね(笑)。良い音を知ってると言う方が近いかな。


― では続いて2235にお願いします。


nori 2235は、皆さんご存知のように、歌もギターもこなせる器用さがあるし、演奏技術も含めたバランスの良さはバンド内で随一だと思います。サッカーであれば、非常に有用なユーティリティプレイヤーとして、監督に間違いなく重宝されるタイプでしょうね。音楽的にも自分とのコーラスの相性は抜群で、これは他のバンドにはなかなかない武器になっていると思います。


― ベタ褒めですね。


nori いや、本当は僕が知ってる彼の狂気性というか変態性をもっと表現の中に入れ込んで欲しいし、引き出したいとも思っていますね。バンドマンとしては優秀ですが、人間的にはかなりヤバい類ですよ、アイツは。騙されてはいけません(笑)。


― 気をつけます(笑)。では最後にPeにお願いします!


nori 何だかんだ言って、Peはこのバンドの象徴的なメンバーだと思います。例えば団体競技だったりすると、彼みたいなタイプは絶対必要なんですよ。決して得点をバンバン取ってくるタイプではないけど、個性的なチームをまとめて押し上げていく。それは彼の実社会の仕事でも発揮されてるんじゃないかな。音楽的には良くも悪くも保守的で昔気質なタイプですね。そこは更なるインプットが必要。若干くどいのと、ギャグのセンスがイマイチなのは目をつぶります。


― まさにベースマンですね!


nori 意見がぶつかることもありますが、お互いキツい時代の体育会系出身なだけあって、タフなことは確かですね。


― では、ここでですね、折角の機会なのでメンバーからnoriへ言葉をもらってきました。まずは2235からです。「今回の作品の中で各メンバーにこれはクリティカルヒット(各パートの好きな部分)の場所を教えてください!」


nori 普通、それをメンバーに聞くかね(笑)。細かく言えば、それぞれに好きなフレーズは沢山ありますよ。Duは「GRAND FUNK ROAD」のドライブするようなドラミング、それに呼応するようなPeのプレイ。あと「MOON RIDER」のブリッジ部分のPeのフレーズも好きですね。2235はやはり’’フィナーレ”のソロが泣けるし、多分本人はそう思っていないだろうけど「GRAND FUNK ROAD」のバッキングもいい味でてる。また、メンバー以外に参加してくれたミュージシャン達の演奏も素晴らしいです。あと、手前味噌ながら「羽衣」「ムーンライダー」のアレンジは、我ながらネクストステージにいったと思います。


― 次はDuからです。「一言、シュッとしたノリボーンが見たいです!笑 ダイエットしないのかな」ですって。でも最近、随分と痩せましたよね?!


nori 何かと思えば、所詮、肉体労働を卒業した後の身体の変化を知らんヤツの戯言ですよ。わがままボディとはいずれケリをつけます!


― そして最後はPeですが「ぴーや(匿名希望)」だそうです。ぴーやって魔法の言葉ですね(笑) 付け加えると「個人的に飲みに行く機会が多い方なので、特に今更質問や意見はない」って事らしいです。


nori そ、そうですか…(それ以外に何を言えと)。


― ちょっとハートフルな展開を期待していたので困ったもんです(笑)。さて!では、そろそろ〆ましょう。新作を楽しみにしている音楽ファンへメッセージをお願いします。


nori 物事には須らくタイミングというものがあります。人や物との出会いや旅、スポーツやビジネス…多くの物語が常に必要としているのはタイミングであり、やるべき時を逃さずにやれる(決断する)ということは、なるべく後悔なく生きていく上で非常に大切なことです。


実は僕自身、前作の「NEVERTHELESS」がTAPE ME WONDERとしての集大成だと思っていました。ただ、未だに続いている長いバンド生活の中で、まるで導かれていたかのような多くの得難い出会いが重なり、そこに刺激を受け、閃きが生まれ、メンバー全員の想いが爆発的に募った結果、今しかないと感じて再び全てを注ぎ込む決意をしました。身に余る一流の環境や一流のスタッフと共に、文字通り全てを出し尽くした今、僕の気持ちは凪の中にいます。


気心知れた仲間達と本作を最高の形で作り上げられた事自体、既に僕にとっては十分幸せなことなのですが、願わくばこの作品が、多くの皆様の人生の良きタイミングで出会い、その心にいくつかの波紋を生み出すことが出来れば、この上なく幸せです。


これからも応援、宜しくお願いします。



 


noribooooone

PG名義でGQ06で東芝EMIよりデビュー後、数々の新人アーティストのディレクションを手掛ける。

現在は仕事で国内外を駆け回りつつ、pygmy with bitter ends、TAPE ME WONDER、Mellow Monk Connectionなど多岐に渡るプロジェクトを継続中。

お酒が入るとついつい饒舌になりがちだが、本当は人見知りの愛犬家。旅とブログ、サウナとミニクーパー、レコードとアートがキーワードの、好奇心に抗えない大人である。


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